「銀行の利息が少なすぎる」と悩む中で、「持っているだけで毎日ポイントが貯まる」スワップ金利に興味を持つ方も多いでしょう。
これは決して怪しい話ではなく、「2国間の金利差」を受け取るFXの基本的な仕組みです。
正しい知識とリスク管理を身につければ、忙しい方でも銀行預金以上の利回りを目指す有効な手段となります。
この記事では、スワップ金利が発生する仕組みや付与されるタイミング、初心者が失敗しないための注意点までをわかりやすく解説します。
スワップ金利(スワップポイント)の仕組みとは?

FX投資には、通貨を売買してその差額で稼ぐ方法とは別に、もう一つの利益の出し方があります。
それが、通貨を持っているだけで毎日調整額が得られるスワップ金利(スワップポイント)です。
「寝ている間にお金が増えるような感覚」。
そう表現されることもありますが、これは世界の金融システムに基づいた仕組みです。
なぜ受け取れるのか、そのカラクリを見ていきましょう。
金利の低い通貨を売り、高い通貨を買う「金利差」
スワップ金利の正体。それはズバリ「2つの国の金利差」です。
世界各国の通貨には、それぞれの中央銀行が決めた「政策金利」があります。
日本の金利は少し上がってきたとはいえ、世界的に見ればまだ低い水準といえます。一方で、アメリカやトルコ、メキシコといった国々は、日本よりも高い金利を設定しています。
FX取引では、常に2つの通貨をペアで交換します。
例えば、「米ドル/円(USD/JPY)を買う」という行為。これは実は、「日本円を売って、米ドルを買っている」状態を指します。
つまり、金利の低い日本円を手放し、金利の高い米ドルを持つことになるわけです。
当然、そこには金利の差が生まれます。この差額調整分を毎日受け取れるのが、スワップ金利の基本的な仕組みなのです。
スワップ金利は誰が払う?発生の裏側と銀行預金との違い
「持っているだけでポイントがもらえるなんて、誰がそのお金を払っているの?」
そんな疑問が浮かぶかもしれません。
もちろん、FX会社がポケットマネーからプレゼントしているわけではありません。
あなたが金利の高い通貨を買っているとき、その対価として金利の低い通貨を市場に提供しています。その結果、インターバンク市場(銀行間取引市場)での取引調整として発生したお金が、FX会社を通じてあなたの口座に反映されるのです。
銀行預金との違いは、利回りの水準と還元の頻度にあるといえます。
日本の銀行の普通預金金利は、現在年0.1%〜0.2%程度(2025年現在)。100万円を預けても、1年間で増えるのは千円〜二千円ほどでしょう。
一方、スワップ金利なら、選ぶ通貨ペアによっては年利数%〜10%を超えるケースも存在します。しかも、原則として毎日発生します。
「半年に一度の利息」と「毎日の付与」。
このサイクルの違いが、スワップ運用が注目される理由の一つです。
どれくらい貯まる?主要通貨ペアの金利例
では、実際にどれくらいの金額が受け取れるのでしょうか。
ここで大切なのは、もらえる金額だけでなく、「その通貨を買うのにいくら必要なのか(元手)」という視点です。
以下の表は、1万通貨を保有した場合の1日あたりの受取額と、必要資金(レバレッジなし)のシミュレーションです。
| 通貨ペア | 1万通貨を買うのに必要な資金(約) | 1日あたりの受取額(目安) | 年間の利回り(目安) |
|---|---|---|---|
| 米ドル/円 | 150万円 | 約200円 | 約4.8% |
| メキシコペソ/円 | 8.6万円 | 約25円 | 約10.6% |
| トルコリラ/円 | 3.6万円 | 約30円 | 約30.4% |
※数値は2025年12月時点のシミュレーションであり、将来の収益を保証するものではありません。また、スプレッドや税金は考慮していません。レートやスワップ額は市場動向により常に変動します。
1日あたりの金額だけなら、米ドル(200円)が多く見えます。しかし、1万通貨を買うためには約150万円もの資金が必要です。
一方、トルコリラはどうでしょうか。
1日約30円と少なく見えますが、証拠金としては約3.6万円から取引可能です。
(※ただし、ギリギリの資金ではロスカットのリスクが高まるため、十分な余裕資金が必要です)
もし手元に100万円あり、すべてトルコリラに投資したと仮定すれば、単純計算での受取額は米ドルよりも大きくなります。これが「高金利通貨」と呼ばれるゆえんです。
ただし、金利が高いことには理由があります。トルコなどの新興国は、高いインフレ率や財政赤字といった経済的な懸念(カントリーリスク)を抱えていることが多く、そのリスクを引き受ける対価として金利が高く設定されている側面があります。「もらえるポイントは多いけれど、通貨の価値そのものが下がるリスクも高い」。この点は必ず理解しておく必要があります。
いきなり大金を投じる必要はありません。まずは少額から試して、毎日スワップポイントが付与される感覚を掴んでみてはいかがでしょうか。
スワップ金利はいつもらえる?付与タイミングとルール

「毎日もらえるといっても、具体的に何時に入金されるの?」
「土日は市場が休みだけど、その分は損をする?」
これから始める方にとって、正確な付与タイミングは気になるところ。
実は、ただ持っているだけでは付与されません。ある特定の時間をまたいで保有することが条件になります。
ここでは、知っておかないと損をする「付与ルール」と、少し特徴的な「ポイント3倍デー」について解説します。
毎日決まった時間に発生!「ロールオーバー」とは
スワップ金利が付与されるタイミング。それは原則として1日1回、ニューヨーク市場がクローズ(終了)する時間です。
この時間をまたいで通貨を持ち越すことを、FX用語で「ロールオーバー」と呼びます。日本時間では以下の通りです。
- 夏時間(3月〜11月頃):日本時間の早朝 6:00 前後
- 冬時間(11月〜3月頃):日本時間の早朝 7:00 前後
※FX会社によって多少のズレがあります。
例えば冬時間の場合。
朝6時59分に通貨を買って、7時01分まで(たった2分間)持っていたとします。この場合、日付をまたいだとみなされ、1日分のスワップ金利が付与されます。
逆に、朝からずっと持っていたとしても、朝7時になる直前の6時59分に売ってしまったら?
残念ながら、その日のスワップ金利は1円も付与されません。
「朝起きたらポイントがついている」。その裏では、早朝のこの瞬間に処理が行われているのです。
土日分はどうなる?水曜日に3倍もらえる理由
FX市場は土日や祝日にはお休み。取引自体は止まってしまいます。
しかしご安心ください。土日の分もしっかりスワップ金利は発生します。
とはいえ、土日に毎日振り込まれるわけではありません。FXの「受渡日(うけわたしび)」というルールの関係上、土日分のスワップ金利は通常「水曜日」にまとめて付与されるのが一般的です。
- 月・火・木・金:1日分が付与
- 水曜日:3日分(水曜+土曜+日曜分)が一気に付与
これが、いわゆる「スワップ3倍デー」です。
「水曜日の朝をまたいで持っているだけで、3日分の金利分が付与される」。このタイミングを意識して取引する投資家もいるほど、注目されるポイントといえるでしょう。
貯まったポイントはいつ出金・再投資できるのか
毎日コツコツと貯まっていくスワップ金利。「いつ現金として引き出せるのか」も気になりますよね。
実はこれ、利用するFX会社によってルールが異なります。
- 決済するまで引き出せないタイプ:
通貨を売却(決済)して初めて、利益として確定・出金できる。 - スワップだけ引き出せるタイプ:
通貨を持ったまま、貯まったスワップ金利だけをいつでも出金したり、再投資したりできる。
長期運用を考えるなら、後者の「スワップだけ引き出せるタイプ」を選ぶのも一つの有効な手段です。
受け取ったスワップ金利を使ってさらに買い増しを行えば、「複利(ふくり)効果」が働き、資産形成の効率が高まる可能性があるからです。
口座開設をする際は、この機能があるかどうか、チェックしてみることを検討してください。
スワップ金利はなぜ変動する?イールドカーブとの関係と決まり方

「先月は毎日200円だったのに、今月は180円に減っている…」
スワップ金利を始めると、こうした変動に戸惑うことがあるかもしれません。
銀行の定期預金金利なら、一度決まればしばらく変わりません。しかし、FXのスワップ金利は毎日変動する可能性があります。
その裏には、「政策金利」だけでなく、プロの投資家たちが注目する「イールドカーブ」という指標が深く関わっています。
政策金利だけじゃない?スワップポイントが決まる要因
先ほど「スワップ金利は政策金利の差」とお伝えしましたが、厳密にはそれだけで決まるわけではありません。
実際のスワップポイントは、FX会社が取引を行う「インターバンク市場(短期金融市場)の金利」をベースに計算されます。ここには、さまざまな要因が絡み合っています。
- 市場の期待感:「来月、アメリカは利下げをするかも?」という観測が出るだけで、決定を待たずにスワップ金利が先に下がることがあります。
- 通貨の需給バランス:その通貨が極端に買われたり売られたりすると、金利調整額も動きます。
- FX会社の手数料:私たちが受け取る額からは、FX会社の運営コストが含まれています。だから、同じ通貨ペアでも会社によって受取額が違うのです。
中央銀行の発表はあくまで「目安」。現場の金利は、毎日のニュースや市場心理で刻々と変化しているのです。
金利の未来を予測する「イールドカーブ」とは
ここで登場するのが、「イールドカーブ(利回り曲線)」という専門用語。
難しく考える必要はありません。簡単に言えば「金利の未来予想図」のようなものです。
これは、「あと何年でお金が返ってくるか(期間)」と「その時の金利」の関係をグラフにしたもの。
通常、お金を長く貸すほど金利は高くなるため、グラフは右肩上がりになります。
しかし、投資家たちが「将来、景気が悪くなって金利が下がるだろう」と予想すると、このグラフが歪んだり、右肩下がり(逆イールド)になったりします。
スワップ金利は今の金利に連動しますが、イールドカーブを見ることで「今後、上がりそうか下がりそうか」というトレンドをある程度予測する材料になります。
受け取り額が急に減る?変動リスクへの備え
スワップ運用のリスクとして「想定していた受取額が減ること」があります。
特に新興国通貨(トルコリラやメキシコペソなど)は、インフレ対策で一時的に金利を高くしていますが、状況が変われば利下げに転じる可能性があります。アメリカのような先進国であっても、景気後退局面では利下げが行われます。
【変動リスクへの対策】
- ギリギリの資金で運用しない:
「今の金利がずっと続く」という前提は避けるべきです。受取額が減っても耐えられるくらいの余裕を持ちましょう。 - 複数の通貨に分散する:
「米ドル」と「メキシコペソ」など、性質の違う通貨を組み合わせるのも一つの方法です。片方が下がっても、もう片方でカバーできる可能性があるからです。
「金利は変動するもの」。この事実を理解しておくことが、長く安定して運用するためのポイントです。
メリットだけじゃない!スワップ金利の注意点とリスク

毎日スワップポイントが付与される仕組みは魅力的ですが、そこには当然リスクもあります。
仕組みを正しく理解していないと、せっかく貯めた金利以上に元本が減り、トータルで損失が出る可能性も十分にあります。
初心者が注意すべきポイントと、大切な資産を守る考え方を見ていきましょう。
逆に支払いが必要になる「マイナススワップ」
スワップ金利は、必ずしも「もらえる」とは限りません。
ポジションの持ち方によっては、逆に毎日調整額を支払うことになります。これを「マイナススワップ」と呼びます。
仕組みは受け取りの逆。「金利の高い通貨を売って、金利の低い通貨を買う」取引をした場合に発生します。
【なぜ「売り」をする必要があるの?】
FXには、「相場が下がっている時(円高)でも利益が出せる」という特徴があります。
「これからドルが下がりそうだ」と予想した時、先にドルを「売る」。予想通り下がった時に買い戻せば、その差額が利益になるからです。
しかし、スワップ投資の観点では注意が必要です。
日本円より金利が高い米ドルなどを「売る」ということは、高い金利を手放すことになります。その金利差を毎日支払う義務が生じるのです。
スワップ収益を目的とするなら、原則として支払いの発生しない「買い」方向での運用が基本となります。
金利以上に損をする?「為替変動リスク」と対策
スワップ投資における大きなリスク要因。それは金利の変動以上に、「為替レートの下落」です。
いくら毎日ポイントをもらっても、通貨そのものの価値が大きく下がってしまえば、トータルの収支(純資産)はマイナスになってしまいます。
具体的な数字で、注意すべきパターンを見てみましょう。
【リスクのシミュレーション:高金利通貨を買ったAさん】
Aさんは「トルコリラの金利が高い」と聞き、以下の条件で投資を始めました。
- 購入資金:100万円
- 購入時のレート:1トルコリラ = 10円
- 保有量:10万通貨
毎日スワップポイントが入ってきて喜んでいたAさん。
しかし1年後、トルコの経済情勢が悪化し、レートが10円から7円に下落してしまいました。
- スワップ受取:+10万円(コツコツ貯まった分)
- 為替の評価損:-30万円(3円の下落 × 10万通貨)
- トータル収支:-20万円(損失)
「金利で10万円プラス」だと思っていても、元本評価額が30万円減ってしまってはトータルでマイナスです。
新興国の高金利通貨は、インフレなどで「通貨の価値そのものが下がりやすい」傾向がある点には十分な注意が必要です。
対策としては、レバレッジを低く抑えること(1〜3倍以内)が有効な防御策といえます。そして、下落リスクの比較的低い「米ドル」などの先進国通貨も視野に入れるなど、通貨選びを慎重に行うことが大切です。
利益が出たら必要?税金と確定申告の基礎知識
最後に、忘れがちな「税金」の話を少しだけ。
FXで得た利益(スワップ金利と為替差益の合計)は、「先物取引に係る雑所得」として課税対象になります。
会社員の方なら、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。税率は一律で20.315%。
ここで注意したいのが、「いつ課税対象になるか(いつ利益とみなされるか)」というタイミングです。
利用するFX会社やコースによって、主に2つのパターンがあります。
- 決済時に課税対象となる(一般的):
ポジションを決済(売却)、またはスワップポイントだけを口座に「振替(受取)」操作をするまでは、その年の所得に含まれません(課税の繰り延べ)。 - 毎日課税対象となる:
未決済であっても、日々付与されるスワップポイントがその年の所得として自動的に確定してしまうタイプ。
多くの個人向けFX口座は「1」ですが、一部の会社では「2」の場合もあります。
ご自身の利用する口座のルールを、事前に確認しておくことを推奨します。
どの通貨が良い?スワップ金利ランキングと推移の活用法

仕組みもリスクもわかった。じゃあ、いざ始めよう。
そう思った時「結局、どの通貨を選べばいいの?」と迷ってしまうものです。
FX会社のサイトには「スワップ金利ランキング」が載っていますが、単に「1位だから買う」というのはリスクが高い判断といえます。
ランキングの見方と、通貨選びのポイントを解説します。
最新ランキングで人気の「高金利通貨」を知ろう
スワップ派に注目される通貨は、大きく「高金利・新興国通貨」と「安定・先進国通貨」の2つに分かれます。
1.金利重視の「新興国通貨」
ランキング上位によく登場するのは、トルコリラ、メキシコペソ、南アフリカランドなどです。
- トルコリラ(TRY):金利水準は高いですが、インフレが激しく価格変動リスクも大きいため、上級者向きとされます。
- メキシコペソ(MXN):比較的高金利でありながら、隣国アメリカの経済に連動しやすいため、新興国の中では比較的選ばれやすい通貨です。
- 南アフリカランド(ZAR):資源国通貨としての側面があり、金(ゴールド)などの価格に左右されやすい特徴があります。
2.バランス重視の「先進国通貨」
- 米ドル(USD):世界の基軸通貨であり、信頼性は高いです。時期によっては新興国に近い金利が付くこともあり、初心者のデビュー戦には米ドルを選ぶ人が多い傾向にあります。
今だけ高いかも?失敗しないために「過去の推移」もチェック
通貨を選ぶ際、現在の金額だけを見てはいけません。必ず「過去の推移(履歴)」を確認しましょう。
FX会社のサイトで、過去のカレンダーを見る際のポイントは2点です。
- 「安定して」付与されているか?
「先月は多かったのに、今月は極端に少ない日がある」。そんな乱高下がある通貨は、収益の見通しが立ちにくいため注意が必要です。 - 右肩下がりになっていないか?
その国の金利が引き下げ局面に入ると、スワップ金利も徐々に減っていきます。「昔は高かったから」というイメージだけで判断せず、直近のトレンドが「維持」か「減少」かを見極めましょう。
まとめ
スワップ金利の仕組みから、タイミング、そしてリスク管理までを解説してきました。
最後に、ポイントをおさらいしておきましょう。
- 仕組み:スワップ金利は「2国間の金利差」。低金利の円を売り、高金利の外貨を持つことで毎日発生する。
- タイミング:毎朝(夏6:00/冬7:00)のロールオーバー時に付与。水曜日は3日分付与されることが多い。
- リスク:注意すべきは「為替変動による元本割れ」。レバレッジを低く抑えることが有効なリスク対策。
- 選び方:ランキング順位だけでなく、過去の推移と安定性を重視する。初心者は米ドルなどのメジャー通貨から検討するのが一般的。
スワップ金利投資は、デイトレードのような派手さはありません。
しかし、時間を味方につけてコツコツと運用することができる、堅実な手法の一つといえます。
毎朝スマホを見た時に、「お、今日もポイントがついているな」と実感できること。それは、あなたの資産形成への意識を変えるきっかけになるかもしれません。


