「『空気』を売って儲ける企業がある?」と聞くと、まるで錬金術のようで少し怪しいですよね。
実はこれ、カーボンクレジット(排出権取引)という、世界中で注目される正当なビジネスなんです。意外と知らないその「儲けのカラクリ」を、ざっくり解説します。
カーボンクレジットってなに?
カーボンクレジットとは、ものすごく簡単に言うと「CO2(二酸化炭素)を出す権利の売買」のことです。ニュースなどで「排出権取引」という言葉を聞いたことはありませんか?実はあれとほぼ同じ意味で使われています。
仕組みはシンプルです。まず、国や企業ごとに「CO2を出していい量(上限)」が決められます。企業が努力して、その上限よりもCO2を減らせたとしましょう。すると、その「余った枠」をチケットのように他の企業へ売ることができるのです。
逆に、どうしても上限を超えてしまいそうな企業は、そのチケット(クレジット)をお金で買わなければなりません。つまり、「CO2削減を頑張ったご褒美」として、空気を売買できる仕組みというわけですね。
なぜ「空気」で儲かるの?
では、なぜ企業は目に見えない「空気」に高いお金を払うのでしょうか?理由は、世界中で環境規制が厳しくなっているからです。
企業が決められた上限を超えてCO2を出してしまうと、国から罰金を取られたり、「環境に配慮しない企業だ」と批判されたりしてしまいます。そうなると、投資家から見放されて株価が下がるリスクもあるんです。でも、工場を急に省エネ化したり、設備を入れ替えたりするのは莫大なコストと時間がかかりますよね。
そこで登場するのがカーボンクレジットです。自社で対策するよりも、他社から「排出枠」を買ってしまったほうが、手っ取り早くて安上がりなケースが多いのです。買う側は時間を節約でき、売る側は利益が出る。この「需要と供給」がマッチしているからこそ、巨大なお金が動くビジネスになっているんですよ。
どんな企業が儲けている?
この仕組みをうまく使って、巨額の利益を上げている有名な企業があります。電気自動車(EV)で有名な「テスラ」です。
テスラはガソリン車を作らず、走行中にCO2を出さないEVだけを製造・販売しています。そのため、国から割り当てられた「CO2排出枠」が大量に余ることになります。テスラはこの余った枠(クレジット)を、ガソリン車をたくさん作っている他の自動車メーカーに売ることで、本業の車販売とは別に、今なお巨額の利益を上げ続けているんです。
まさに、環境に良いことをしながら「空気」を資産に変える、現代の錬金術と言えるかもしれませんね。
まとめ
カーボンクレジットは、怪しいビジネスではなく「環境対策を頑張った企業が得をする仕組み」でした。CO2削減がただのボランティアではなく、ちゃんとした利益につながるからこそ、世界中の企業が注目しているんですね。
「空気を売って儲ける」という言葉の裏には、こうした合理的な理由が隠されています。これからはニュースで環境問題の話題が出たら、「あ、これはあの錬金術の話だな」と思い出してみてください。きっと今までとは違った視点で、経済の動きが見えてくるはずですよ。


