投資は「買った後」が9割!リバランスのやり方と資産配分の直し方

箱庭の中で資産のブロックを整列させている人のアイソメトリックイラスト。 投資の知識

「資産が増えてきたのは嬉しい。でも、いつか来る暴落が怖い…」。そんな不安を抱えていませんか?

投資格言に「リスク管理は『買う前』より『買った後』」とありますが、実際に「崩れた資産配分をどう直すか(リバランス)」となると、手が止まってしまう方も多いはず。

実は、長期投資の成果を左右するのは「定期的なメンテナンス」です。

この記事では、初心者でも迷わないリバランスの手順やタイミングを解説します。
読めばきっと、暴落にも動じない「守りの資産管理」の考え方が理解できるはずです。

  1. 投資のリスク管理は「買った後」が鍵!リバランスが必要な理由
    1. 買う前より大事?資産配分(アセットアロケーション)が崩れるリスク
    2. リバランスの意味と効果:「安く買って高く売る」仕組みを解説
    3. 放置は危険!リスク許容度を超えた運用になっていませんか?
  2. どの戦略でいく?リバランスのタイミングとルールの決め方
    1. 「定期リバランス」と「乖離リバランス」のメリット・デメリット
    2. 頻度は年1回?それとも暴落時?自分に合った戦略の選び方
    3. 感情を排除する!機械的に実行するためのマイルール設定
  3. 崩れた資産配分を直す!リバランスの具体的なやり方と計算手順
    1. 【手順1】現状のポートフォリオと目標比率のズレを確認する
    2. 【手順2】売りリバランス:利益が出ている資産を売却して調整する
    3. 【手順3】買いリバランス(ノーセル):資金を追加して比率を戻す
  4. リバランスのコストは無視できない!税金や手数料を抑える賢い方法
    1. 売却益にかかる税金の影響と「資産の置き場所(NISA/特定)」
    2. 信託財産留保額や売買手数料などの「隠れコスト」に注意
    3. 面倒なら「バランス型ファンド」や自動リバランスを活用する選択肢
  5. 「リバランスは意味ない・不要」説の真実とは?やらなくていいケース
    1. 資産規模が小さい・積立初期なら「不要」と言われる理由
    2. 頻繁にやりすぎると「意味がない」どころか逆効果になるリスク
  6. まとめ

投資のリスク管理は「買った後」が鍵!リバランスが必要な理由

積み上げられたコインを守る盾の3Dイラスト。投資のリスク管理と資産保全のイメージ。

銘柄選びや買い時には全力を注ぐのに、買った後のメンテナンスは放置気味。そんな投資家が少なくありません。

しかし、投資の結果に大きく影響するのは「何を買ったか」以上に「どう維持したか」。むしろ、こちらの方が重要といっても過言ではないのです。

なぜ買った後の管理が大切なのか。その核心となる「リバランス」の仕組みから見ていきましょう。

買う前より大事?資産配分(アセットアロケーション)が崩れるリスク

リスク管理の要、それが資産配分(アセットアロケーション)です。

資金を「株式」「債券」「現金」などにどう振り分けるか。このルール作りがすべてと言ってもいいでしょう。

例えば、攻めの「株式」と守りの「債券」を半分ずつ持つ。これでリスクを抑えようと計画したとします。

ところが、運用を続けるうちに市場価格は変動し、この比率は必ず崩れていきます。

株価が好調な時期を想像してみてください。

気づけば資産全体における「株式」の割合が70%、80%と膨れ上がっていることも珍しくありません。

車で例えるなら、スピード(リスク)が出すぎている状態です。

当初の計画よりも危険な運転をしていることに気づかず、そのまま放置してしまう。これは非常に危ない状況です。

「買う前の計画」も大切ですが、「買った後の確認」こそが、資産を守る本当のリスク管理なのです。

リバランスの意味と効果:「安く買って高く売る」仕組みを解説

崩れてしまった配分を元に戻す作業、それが「リバランス」です。

値上がりして増えた資産を売り、その利益で減った資産を買い増す。一見単純な作業ですが、ここには投資の鉄則「安く買って高く売る」が自動的に組み込まれています。

以下の表でシミュレーションしてみましょう。

【表:資産配分の変化とリバランスのイメージ】
 ※計算を単純化するため、税金や手数料、分配金の再投資などは考慮していません。

状態株式(50%)債券(50%)合計状況
運用開始100万円100万円200万円スタート
1年後150万円
(↑増)
100万円
(→)
250万円株が値上がりし、比率が60%に増加
リバランス25万円分売る25万円分買う利益確定と安値仕込み
調整後125万円125万円250万円50%ずつに戻る

表を見てわかる通り、値上がりした株式を一部売却するのは「利益確定(利確)」そのもの。

同時に、割安な債券を買い増すことは「安値拾い」になります。

感情任せの投資だと、上がっている株はもっと買いたくなり、下がっている資産は手放したくなるのが人情というもの。

しかしリバランスを行えば、強制的に「逆張り」の行動をとることになります。結果として、長期的なパフォーマンスが安定しやすくなるわけです。

放置は危険!リスク許容度を超えた運用になっていませんか?

もしリバランスをせず、放置し続けたらどうなるか。

最大の懸念は、自身の「リスク許容度」を超えた損失を被る可能性です。

リスク許容度とは、「資産がどれくらい減っても生活やメンタルを保てるか」という耐性のこと。

先ほどの例で、株式比率が80%まで膨れ上がった状態で「〇〇ショック」のような大暴落が起きたとしましょう。

本来なら債券を50%持っているおかげで軽傷で済むはずでした。

しかし、株式比率が高まっていたせいで、資産の大半が直撃を受ける。想定以上のダメージです。

「これくらいなら損しても大丈夫」。そう思って始めた投資が、いつの間にか「これでは生活が破綻する」という危険なポートフォリオに変貌しているかもしれません。

身の丈に合ったリスク量に引き戻す。そのためにも、定期的なリバランスは欠かせないのです。

どの戦略でいく?リバランスのタイミングとルールの決め方

カレンダーと時計の3Dイラスト。リバランスを行うタイミングやスケジュールのイメージ。

「理屈はわかった。でも、具体的にいつやればいい?」

ここで手が止まる方も多いでしょう。

なんとなく気が向いた時にやろうとすると、相場の動きに迷いが生じ、冷静な判断ができなくなります。

成功の秘訣は、あらかじめ「自分なりのルール」を決めておくこと

代表的な2つの戦略をご紹介します。

「定期リバランス」と「乖離リバランス」のメリット・デメリット

タイミングの決め方は、大きく分けて「定期リバランス」「乖離(かいり)リバランス」の2種類があります。

それぞれの特徴をまとめました。

【表:リバランスの2大戦略比較】

戦略名ルールメリットデメリット向いている人
定期リバランス「毎年12月末」「誕生月」など、決まった時期に行う・スケジュール管理が楽
・相場を気にせず機械的にできる
・相場急変時に対応が遅れる場合がある初心者
忙しい会社員
乖離リバランス目標比率から「5%ズレたら」など、変動幅に応じて行う・リスク管理がより精密にできる
・大きな相場変動に強い
・常に相場チェックが必要
・売買回数が増えコストがかさむ可能性
中・上級者
マメな性格の人

定期リバランスは、カレンダーで日を決めて行う方法。

相場状況を無視して実行するため、管理がシンプルで精神的な負担も少ないのが魅力です。

対する乖離(かいり)リバランスは、資産配分のズレが一定ラインを超えたら実行するスタイル。

「株式比率がプラスマイナス5%動いたら調整」といった具合ですね。

頻度は年1回?それとも暴落時?自分に合った戦略の選び方

どちらを選ぶべきか。結論から言えば、投資初心者や忙しい会社員の方には、「定期リバランス」が取り組みやすいでしょう。

理由は2つあります。

  1. 手間がかからない
    年に1回、あるいは半年に1回口座を確認するだけ。日常生活を邪魔しません。
  2. コストを抑えられる
    頻繁な売買は、その都度手数料や税金(利益が出ている場合)が発生し、複利効果を削いでしまいます。年1回程度なら、こうしたコストも最小限です。

より厳密に管理したいなら、「基本は年1回」としつつ、「〇〇ショック級の暴落時だけ臨時対応する」というハイブリッド戦略も有効でしょう。

大切なのは、「いじりすぎないこと」。
数%のズレを気にして毎月売買するのは、手数料負けの元です。

感情を排除する!機械的に実行するためのマイルール設定

リバランス最大の敵。それは相場ではなく、「自分の感情」です。

いざ実行しようとすると、悪魔の囁きが聞こえてきます。

「株が上がっているのに、今売るのはもったいない…」
「もう少し待てば、もっと安く買えるかも…」

こうした迷いを断つには、鉄の掟(マイルール)を決めて、機械的に処理するしかありません。

【おすすめのマイルール例】

  • 記念日に行う: 誕生日や結婚記念日を「リバランスデー」にする。
  • ボーナス月に合わせる: 資金に余裕がある時期なら、後述する「ノーセルリバランス」もしやすい。
  • イベント化する: 年末の大掃除と一緒に「資産の大掃除」と決めてしまう。

ルールを決めたら、あとはロボットになったつもりで淡々と実行あるのみ。

「感情」を挟まないこと。これこそが、長期投資を続けるための最良の戦略です。

崩れた資産配分を直す!リバランスの具体的なやり方と計算手順

円グラフを組み立てて調整している作業員のアイソメトリックイラスト。具体的なリバランス作業。

ルールが決まれば、あとは実践です。

「計算が難しそう」と身構える必要はありません。やるべきは「現状を知る」、そして「差分を埋める」。たったこれだけ。

以下のモデルケースで手順を追ってみましょう。

【モデルケース:Aさんの場合】

  • 目標とする資産配分: 株式 50% : 債券 50%
  • 運用開始時の元本: 200万円(各100万円ずつ)
  • 1年後の現在: 株価上昇で、株式 150万円債券 100万円(合計250万円)に。

【手順1】現状のポートフォリオと目標比率のズレを確認する

まずは、現在の資産状況(ポートフォリオ)が目標からどれくらいズレているか、数字で把握します。

1. 合計額を確認

Aさんの資産合計は、150万円(株)+100万円(債券)で250万円。

2. あるべき金額を計算

目標比率(50%:50%)を当てはめると、理想はこうなります。

  • 株式:125万円
  • 債券:125万円

3. ズレを算出

現状と理想を引き算してみましょう。

  • 株式:+25万円(多すぎる)
  • 債券:-25万円(足りない)

これで、「株式を25万円分減らし、債券を25万円分増やす」というゴールが見えました。

【手順2】売りリバランス:利益が出ている資産を売却して調整する

最も基本的なのが、増えすぎた資産を売って減った資産を買う「売りリバランス」です。

Aさんの場合なら、こうなります。

  1. 株式を25万円分売却(利益確定)
  2. 手元に入った25万円で、債券を25万円分購入
    ※計算を単純化するため税金等は考慮していません。特定口座なら利益分から税金が引かれます。

これで株式・債券ともに125万円ずつ。比率は美しい「50:50」に戻ります。

追加資金が不要なのがメリットですが、特定口座(課税口座)の場合、売却益に対し約20%の税金がかかる点には注意が必要です。

【手順3】買いリバランス(ノーセル):資金を追加して比率を戻す

「せっかく増えた資産を売るのは嫌」「税金も払いたくない」。

そんな方には、新たな資金で調整する「買いリバランス(ノーセルリバランス)」がおすすめ。

比率が下がった資産(ここでは債券)を、貯金やボーナスで買い増す方法です。

計算の考え方:

株式の150万円を基準(50%)に、債券も同額まで引き上げます。

  • 現在の株式:150万円
  • 現在の債券:100万円
  • 不足分:50万円

つまり、債券を50万円分追加購入するわけです。

合計資産は300万円となり、比率は無事「50:50」へ。

  • 税金がかからない(複利効果を最大化できる)
  • 資産規模が拡大する(資産形成のスピードアップ)

多くのメリットがありますが、まとまった資金が必要なのがネック。「毎月の積立配分を変える(債券だけ多く買う)」などして、時間をかけて調整するのも手です。

リバランスのコストは無視できない!税金や手数料を抑える賢い方法

光をまとった貯金箱の3Dイラスト。コスト削減と資産を守るイメージ。

「リバランスしたら資産が減った…」。

笑えない話ですが、コスト意識が抜けていると実際に起こり得ます。
リバランスはあくまで「守り」の戦略。実行に伴う税金や手数料は最小限に抑えたいところです。

賢い方法を知っておきましょう。

売却益にかかる税金の影響と「資産の置き場所(NISA/特定)」

最も重いコスト、それは利益にかかる税金です。

特定口座(課税口座)で売却すると、利益に対し約20.315%が持っていかれます。

10万円の利益があっても、手元に残るのは約8万円。これは痛いですよね。

最大の防御策は、「NISA(少額投資非課税制度)」の活用です。

1. NISA口座内でリバランス

利益が出ていても売却時の税金はゼロ。新NISAなら翌年に枠も復活するため、ハードルはぐっと下がりました。

2. 優先順位を考える

NISAと特定口座、両方持っている場合の鉄則はこちら。

  • 最優先: 新規資金でNISA口座の「不足資産」を買い増す(ノーセルリバランス)。これが非常に効果的な節税策です。
  • 次点: どうしても売却が必要なら、NISA口座内の資産から検討する(非課税メリットを手放すことにはなるので慎重に)。
  • 最終手段: 特定口座の資産を売却する。

信託財産留保額や売買手数料などの「隠れコスト」に注意

税金以外にも、見落としがちな「隠れコスト」があります。

  • 売買手数料: 投資信託は無料(ノーロード)が主流ですが、ETF(上場投資信託)は証券会社によってかかる場合も。
  • 信託財産留保額: 解約時のペナルティのような費用。インデックスファンドでは「なし」が多いものの、古いファンドやアクティブファンドでは「0.3%」ほど取られることもあります。

リバランス前には、必ず目論見書をチェック。「解約時にかかるお金はないか?」を確認する癖をつけておきましょう。

面倒なら「バランス型ファンド」や自動リバランスを活用する選択肢

ここまで読んで、「計算も面倒、税金とか考えるのも億劫…」と感じた方もいるかもしれません。

それなら、自分でやらないという選択肢もアリです。

1. バランス型ファンドを選ぶ

「eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)」のように、最初からパッケージ化された商品を買う方法。運用会社が勝手にリバランスしてくれる上、ファンド内部での売り買いには税金がかかりません。税効率も優秀です。
※上記は一例であり、特定の商品の購入を推奨するものではありません。

2. ロボアドバイザーを活用する

「WealthNavi(ウェルスナビ)」などのサービスにお任せする手も。手数料(年率1%程度など)はかかりますが、完全放置で高度な資産管理が可能です。
※上記は一例であり、特定のサービスの利用を推奨するものではありません。

「コストをかけて楽を買う」か、「手間をかけてコストを削る」か。

自分の性格に合ったスタイルを選んでみてください。

「リバランスは意味ない・不要」説の真実とは?やらなくていいケース

芽生えたばかりの若葉と疑問符の3Dイラスト。投資初期段階やリバランス不要説のイメージ。

ネット上には「リバランスなんて意味がない」「積立なら放置でいい」という声もあります。

ここまで解説しておいて何ですが、実はその意見、ある条件下では正解なのです。

思考停止でやるのではなく、「やらなくていいケース」も知っておきましょう。より柔軟な資産管理ができるようになります。

資産規模が小さい・積立初期なら「不要」と言われる理由

投資を始めたばかり、あるいは資産額がまだ少ない段階(数万円〜数十万円程度)なら、無理にリバランスする必要はありません

なぜなら、「運用による変動」より「毎月の入金」の影響力の方が圧倒的に大きいからです。

例えば資産10万円の時、暴落で20%減ったとします。損失は2万円。

この2万円を調整するより、翌月の給料から3万円を追加投資すれば、簡単に埋め合わせができてしまいますよね。

この段階で比率調整に血道を上げるより、「入金力(節約や副業)」を高めて種銭を大きくすることに集中すべきでしょう。

リバランスが真価を発揮するのは、資産が数百万円、数千万円と育ち、「毎月の入金だけでは変動をカバーしきれなくなった時」からです。

頻繁にやりすぎると「意味がない」どころか逆効果になるリスク

また、やりすぎも禁物です。

相場には「上がっている株は、勢いに乗ってもうしばらく上がり続ける」という傾向(順張り)があります。

上がり始めた直後に「リバランスだ!」と売却してしまうと、どうなるか。

本来ならもっと伸びたはずの利益を、「早すぎる利益確定」で自ら摘み取ってしまうことになりかねません。

「早すぎる売却」は機会損失を生み、「早すぎる買い戻し」は下落中の資産をつかむリスクを高めます。

こうした「早とちり」を防ぐためにも、「年に1回」や「乖離5%以上」といったゆとりあるルールが重要になるわけです。

「何もしない勇気」を持つ。これもまた、立派な投資戦略といえます。

まとめ

投資のリスク管理。「何を買うか」以上に大切なのは、「買った後にどうメンテナンスするか」です。

最後に、ポイントを振り返っておきましょう。

・リバランスは単なる事務作業ではありません。
・行き過ぎたリスクを削ぎ落とし、割安な資産を拾う。長期的な資産形成を成功に導くための「安全装置」です。
・初心者におすすめなのは、「年に1回、決まった日にポートフォリオを確認する」というシンプルな戦略。
・もし大きく崩れていたら、NISA枠を活用した「ノーセルリバランス」で、コストを抑えつつ調整するのが賢いやり方です。

「難しそう」と後回しにしていた方も、まずは今の資産状況をチェックすることから始めてみてはいかがでしょうか。
その小さな確認作業が、数年後、あなたの資産を守る大きな盾となるはずです。

投資は長く続けることで、成果が出やすくなるものです。
一時の感情に流されず、リバランスという武器を使って、したたかに市場と付き合っていきましょう。

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