「ジンバブエを超える世界最悪のインフレとは?1946年ハンガリー『ペンゲー』の天文学的数字」…この凄まじい記録、気になりませんか?実は10垓(がい)ペンゲーという、信じられないお札が製造されていたんです。今回はその桁外れな世界を、サクッと解説します。
ハンガリーの「ペンゲー」って?
「ハイパーインフレ」と聞くと、多くの人が2000年代のジンバブエドルを思い浮かべるのではないでしょうか。でも実は、歴史上もっと凄まじいインフレ記録を持つ通貨があるんです。それが、1946年にハンガリーで流通していた「ペンゲー」です。
ジンバブエドルについてはInvestCompassコラムでも紹介しました。
詳しくは以下を参照してください。
第二次世界大戦後の混乱期、ハンガリー経済は壊滅的な状況にありました。その結果、物価が信じられないスピードで上昇し始めたのです。なんと「15時間ごとに物の値段が2倍になる」というペースでした。朝に買ったパンが、夕方には倍の値段になっているなんて想像できますか?ジンバブエの「24時間で2倍」を超え、これがギネス記録にもなっている世界最悪のインフレなんです。
衝撃!「10垓」という天文学的数字
インフレが進むと、お札に印刷されるゼロの数がどんどん増えていきますよね。ペンゲーの場合、その増え方はまさに「桁違い」でした。あまりにゼロが増えすぎて、お札のデザインに収まりきらなくなったほどです。
そこで歴史に名を残したのが、最高額紙幣である「10垓(がい)ペンゲー」です。「垓(がい)」という単位、日常生活ではまず見かけませんよね。これは「1兆の1億倍」である「1垓」のさらに10倍、ゼロが21個も並ぶ天文学的な数字です。実際には、この紙幣が発行される直前で通貨が切り替わったため、市民の手で使われたのは「1垓ペンゲー」まででしたが、印刷までは行われていました。額面の表記もゼロの羅列ではなく、「10億Bペンゲー(Bは兆の意味)」と文字で書かないと収まらない異常事態だったのです。
10垓ペンゲー、日本円でいくら?
さて、一番気になるのは「そんなに大きなお金、今の日本円だといくらなの?」という点ですよね。「10垓」なんて数字だけ見れば、世界一の大富豪になれそうな気がしませんか?しかし、現実は非常にシビアです。
当時のレートは激しく変動していましたが、実際に流通していた「1垓ペンゲー」紙幣でさえ、発行当時の価値は日本円にしてわずか数円〜数十円程度だったと言われています。つまり、もし10垓紙幣を持っていたとしても、コーヒー一杯すら飲めない可能性が高いのです。文字通り「紙くず」同然の価値しかなかったことが、当時の写真で見る「街中に捨てられた大量の紙幣」からもよくわかります。
結局、最後はどうなったの?
この制御不能なインフレを止めるため、ハンガリー政府は最終手段に出ました。1946年8月、新しい通貨「フォリント」を導入したのです。この時の旧通貨との交換レートが、最後の衝撃的な記録となりました。
そのレートはなんと、「40穣(じょう)ペンゲー = 1フォリント」。「垓」のさらに上、「穣」という単位が登場し、ゼロが29個も削除されるデノミネーションが行われたのです。こうしてペンゲーはその役目を終え、歴史の彼方へと消えていきました。今では「幻の紙幣」としてコレクターに人気の10垓ペンゲー。飲み会の雑学ネタとして、この「世界一のインフレ話」を披露してみてはいかがでしょうか。



